オンライン授業で試験と成績評価を⾏うための教授法 (ティップス)
December 28, 2021

オンライン授業で試験と成績評価を⾏うための教授法 (ティップス)

オンライン授業で試験と成績評価を⾏うための教授法 (ティップス)を紹介します。

東海国⽴⼤学機構|アカデミックセントラル|インストラクショナルデザインチーム

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全ての授業に共通の観点

学⽣の学習の評価を第⼀に考える

  • 学習評価の際は、定期試験という方法にとらわれすぎないようにしましょう。
  • 学習評価は、学生が学習目標に到達したかを確認することが目的です。

学習⽬標に対応した評価⽅法を選ぶ

⽬標の段階に応じた評価⽅法を検討する

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フィードバックのための評価の頻度を増やす

  • オンライン学習は、教員や他の学生と接する機会が少なく、孤独な学習です。この場合、課題への取組とそれに対するフィードバックを行うことで、学生は自分の理解度を確認することができます。
  • 授業の最終回のみで評価を行うのではなく、フィードバックの頻度を増やすようにしましょう。
  • 毎回(少なくとも2~3回の授業に1回は)理解度確認の小テストや課題を用意します。「定期試験は理解度確認テストと類似したものとします」と学生に伝えておけば、学生は安心して課題や定期試験に取り組めるようになります。

オンラインで定期試験を⾏うためのティップス

定期試験を行う

  • 定期試験は、学生が1人で、一定時間内に、何も持ち込まず(または限定 された持ち込み物を用いて)、一定量の問題に解答し、必要 な知識が定着しているかを確認するという特徴があります。
  • オンラインで実施する場合、持ち込み物の制限や学生同士の相談等、試験の実施管理が困難という懸念があります。

(⽅法1)NUCTで定期試験を⾏う

  • NUCT「小テスト」の設定を工夫することで、対面での定期試験に近い実施が可能です。
    • 開始・終了時間や、解答時間を指定が可能
    • 学生を3~4のグループに分け、グループごとに異なる問題を出題する(学生同士の相談を完全に防ぐことはできないが)
    • 持込不可の試験は難しい
  • 一方、こうした設定は教員の準備負担が重くなります。オンラインで試験を実施する場合、持込を前提とした問題としたり、定期試験以外の方法も検討しましょう。

問題を⼯夫して深い理解を確認する

  • 「正誤問題」は問題文を工夫することで深い理解を確認する問題が作れるため、多くの試験でお勧めできる方法です。
  • また、正誤問題では「論拠を求める」オプションが使えます。論拠を記入させることで、学生の理解度を確認できます。

技術的トラブルに備える

  • オンラインで試験を行う場合、技術的なトラブルを訴える学生が必ず出ます。例えば、次のようなトラブルです。

    • 試験当日に(さまざまな理由で)NUCTにアクセスできなくなった。
    • 試験解答中にアクセスが切れ、解答できなくなった
  • そのため、必ず別プランを用意しておくことが必要です。例えば、次のような方法があります。

    • 再試験日程を用意し、別日程での試験機会を確保する。
    • 一定期間内に複数回解答できる問題とし、最も良い成績を評価対象とする。
    • そもそも1回の試験で評価する方法を避ける。

(⽅法2)物理的な筆記による試験を⾏う

  • NUCT上に試験を用意するのではなく、従来と同じ筆記による試験をオンラインで行います。
  • 試験問題をPDFで用意し、アクセス可能な時間を限定して提示します。
  • 事前に配布・印刷させた答案用紙に、試験時間中に解答し、答案用紙をスキャンするか写真で撮影して「課題」ツールから提出してもらいます。
  • 事前に全員が参加可能かを必ず確認しておきます。
  • 複数の問題を用意し、学生番号に応じて解答する問題を指定することで、一定程度学生同士の相談を制御することもできます。

試験実施前に⼊念に準備する

  • オンラインでも試験実施の際は、動作の確認や学生が解答可能かを確認しましょう。TAや既習者に協力を依頼し、実際に問題に解答してもらうことで、意図した通りに試験が実施できるかを確認しておきます。
  • また、学生には試験前に必要な情報を伝えましょう。特に、解答時間や解答条件等を明確に伝えること、および、トラブルが生じた場合にどのように行動すればよいかを伝え、学生の不安を和らげましょう。

試験方法を工夫するためのアイデア

複数の評価⽅法を組み合わせる

  • オンライン授業では、定期試験という特定の方法にこだわらないようにしましょう。
  • オンライン授業では、複数の評価方法を複数回実施して組み合わせる方が適しています。

より⾼次の能⼒を問う課題を⽤意する

  • 論文課題(レポート課題)を活用しましょう。多くの授業では、知識の獲得・理解の水準にとどまらず、応用や活用など高次の目標を設定しています。論文課題は高次の目標到達を評価する方法に適しています。
  • 課題の出し方を工夫することで、多くの授業で活用可能な課題を用意できます。
    • 演習問題型:与えられた問題の解の特性をグラフを書きながら論じる、与えられた命題を証明する。
    • 論証型:与えられたテーマについて、データや論拠を示しながら結論を導く。

アクティブラーニングと連動させる

  • 学生に定期試験問題を作成する課題を出すことで、主体的な学習を促すことができます。
  • 教員が問題作成の条件等を示し、学生は条件に合う試験問題と回答例を作成するレポート課題に取り組むことで、定期試験よりも深い理解を促しながら評価ができます。
    • 「気体の状態方程式を用いて圧力を求める問題を作成しなさい。」
    • 「ロピタルの定理を活用して極限値を求める問題を作成しなさい。」
  • 条件設定は、問題の難易度を調整することにも使えます。
    • 「基本問題と発展問題の2種類を作りなさい。」
    • 「解が発散する問題を必ず含めなさい。」
    • 「母分散と標本分散の違いが理解できていることを判別する問題を作 りなさい。」
  • 教員が出題した定期試験問題について、口頭で解答を解説する動画を学生に作成してもらうことも、主体的な学習を促すことができます。
    • 紙に解答を書く様子を撮影して提出してください。
    • 解答を解説するスライド資料を作り、スライドショー録画で解説動画 をつくってください。
  • 優れた動画は、将来の授業の教材に使うこともできます(学生の承諾が必要)。
  • 取り組む際は、事前に撮影技法の指導など、準備の機会を設けましょう。

演習科⽬でオンライン評価を⾏う

  • 演習科目では議論や口頭発表による評価が多く取り入れられています。スライドショーの録画機能を使うことで、同様の課題とすることができます。
  • 動画の作成では、教員が事前に何を評価するかの観点を明示しておきます。特に、スライド資料の観点と、口頭発表の観点を分けて明示します。
  • 学生には、動画を作成する練習時間を確保し、全員が参加できることを保証します。
  • 動画作成ができない学生には、印刷したスライドを紙芝居形式で説明する動画を作成するなど、代替案を用意します。